プロダクトCGと建築CGの違い ~黒田流CG業務視点~ -【業界インタビュー Vol.3】黒田克史さん 第4話

プロダクトCGと建築CGの違い ~黒田流CG業務視点~

BRAUN BNE001 | iPhoneでフラッシュ焚いて撮ったような表現の習作

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あいこ
あいこ
仕事内容の割合はどうなっているんですか?
1年トータルでみたらCGが6割くらいですね。あとデザインが2割で、講師が2割。大体それで回ってます。知り合いにデザインができる人が多いのでプレゼンや広告用のCGがほしいという話が多いです。
黒田さん
黒田さん
あいこ
あいこ
その場合、プロダクトのモデルデータがお客さんから送られてきて、それを黒田さんがCGで絵づくりするってことですか?
そういう場合も多いですね。stepデータなどでモデルを支給してもらいます。
黒田さん
黒田さん
あいこ
あいこ
なるほど!じゃあ黒田さんがモデリングする場合はオリジナルのデザインのものなんですね。
だいたいレンダリング時間ってどれくらいかかるんですか?
ものによりますけど、15分~1時間位ですね。解像度が大きいのが欲しいっていわれることが多いんですよ。長手が9000~10000px以上とか。最近は速そうなレンダラーがたくさん出てきてますし試したい気持ちはあるんですよ。でも数年前のデータを引っぱり出してきて更新するような仕事もあるのでなかなか難しい問題です。
黒田さん
黒田さん
あいこ
あいこ
レンダラー変更できないのは、年単位の仕事あるあるですね。。
プロジェクトの進め方自体が建築とは異なるんですよね。建築CGの場合だと、依頼されたら途中でチェックを出すじゃないですか。それに赤が入ったり設計変更が発生してもう一回返すとかもあるじゃないですか。僕のやっているプロダクトの仕事ではそういう設計変更が無いんです。
黒田さん
黒田さん
あいこ
あいこ
そっか!もうデザインFIXしたモデルをもらっているわけですもんね。
そうなんですよ。だから手戻りというか、やり取りの回数自体がプロダクトは少ないですね。描いたものでほぼそのまま世に出ちゃうので責任感はあります。位置づけとして絵描きというよりカメラマンのような立場だと思っています。
黒田さん
黒田さん
あいこ
あいこ
そっかー!カメラマンの代わりって言うとすごくわかりやすいですね。
ほんとにそんな感じです。僕はプロダクトから入っているので、建築CGに関しても建築写真家の代わりだと思って仕事をしているところがあります。竣工写真みたいに描くっていう気持ちですね。あまりレタッチしたくないのもそういうところから来ている考え方だと思います。
黒田さん
黒田さん
あいこ
あいこ
だからフォトリアルな表現の作品が多いんですね!
もともと建築パースって手描きだったものじゃないですか。そこから3Dソフトを使ってパースを描くように移り変わってきた流れがありますよね。これから3D空間上がもっと現実に近い環境を扱えるようになってきたりすると、たぶん必要になるのは写真の技術なんですよね。
黒田さん
黒田さん
あいこ
あいこ
確かにCG初めたときカメラの事全然知らなかったから、カメラ詳しかったらもっといろいろ遊べるのかーとか光の知識も必要なんだーってびっくりしましたもん。ただモデリング出来ればパースができるんじゃないのかーって。
一般的な制作工程が「絵を描くように」から「写真を撮るように」へ変わっていくと思います。その中で、自分はどういう手法や表現を選択するか考えないといけないですね。個性的で作家性のあるCGを描きたいなと思うようになってきたので自分なりに模索しています。
黒田さん
黒田さん

新しいこと覚えたいって!?
じゃあまずはチュートリアル動画を見ようか!

黒田克史さんとあいこさんのかけあい 02

黒田克史さんとあいこさんのかけあい 02

あいこ
あいこ
いろいろなことに取り組まれていることが改めて分かったのですが、新しいものを取り入れるための勉強とかいつしているんですか?
タイミングですか?いつかな?ごはん食べてる時とかかな(笑) 最近は動画コンテンツが多いので、お弁当とか食べてる時にちょっと見て。ソフト自体は全然触らないんですよ。
黒田さん
黒田さん
あいこ
あいこ
見ながら並行して実際にソフト触らないんですか?
はい。たぶん勉強するときに「これを勉強したい」と思ったら、すぐインストールしてすぐソフト触ろうとするじゃないですか。そうするとどこに何があるかわからなくて嫌になっちゃうので、それならいっそ触らない。触らずに見るだけ。こんなことできるんだ、っていうのを知る。まず知る!そこにたぶん時間すごくかけてるかも。いきなりはやらないですね。
黒田さん
黒田さん
あいこ
あいこ
確かに全体を把握してから触った方が効率良さそう!
先走って形から入っちゃうとお金もかかるし、そろえるものも分からないし失敗しちゃうことあるもんなー…。動画見てうずうずしてきたら、そこで初めて触ってみればいいのか。
どのソフトを使うかは自分が進みたい方向によるじゃないですか。細かいことを分かろうとしても分からないので、なんとなく雰囲気だけつかめばいいと思うんですよ。「このソフトは家電ばかりつくっているな」とか、「こっちのソフトは木ばっかりつくってるな」とか。なんかそういう雰囲気をざっくり捉えて、自分がつくりたいものとマッチしそうなソフトをはじめればそれでいいんじゃないかな。1個できるようになったら、他のソフトもたぶんできると思う。
黒田さん
黒田さん
天野 愛子

天野 愛子Writer, Interviewer

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フリーランス2年生。 建築CGパース制作会社退職後、心が踊る出会いを求め、活動の場を多岐に渡り拡大中。

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