近い未来。それはつまり今 -【業界インタビュー Vol.3】黒田克史さん 第5話

近い未来。それはつまり今

あいこ
あいこ
最後に!建築ビジュアライゼーションはどうなっていくと思いますか?
CG業界の中で建築CGは他ジャンルと少し距離があると思うんですよね。垣根があるというか。Unreal Engineなどゲームエンジンも使われるようになってきていますし、ゲームや映画の業界と親和性が強くなるんじゃないかと思います。ゲームや映画の背景を建築家の方が担当する事例もありますし、業界全体がもっとシームレスというかナチュラルに行き来するようになるとよいと思います。
黒田さん
黒田さん
あいこ
あいこ
そっかそっか。今はゲームの中の建築はゲームの背景をつくる人がつくっていて、建築の知識があってつくっているわけじゃないのか。
ビジュアル優先でつくっていると思いますね。業界全体がシームレスに流動的になっていくと、建築CGを専門としている方の技術が多ジャンルでも生かされるんじゃないかなと考えたりしています。
黒田さん
黒田さん
あいこ
あいこ
専門知識があることが強みになるんですね。
そう。建築パースだけ描いてる業界の中だと当たり前のことが、外に出るとすごくレアなものになるんですよね。ちょっとした部材の一般的な厚みだったり天井高がいくつだとかなんとなく頭に入っているじゃないですか。自分が身に付けてきた知識や技術って自分の中ではごく当たり前になってしまいますよね。でも思いもよらないところで必要とされたり歓迎されたりすることってあると思います。
黒田さん
黒田さん
あいこ
あいこ
じゃあ、5年後とかはまたいろいろ変わってくるのかな?
うん。5年~10年で全然変わっちゃうと思います。
黒田さん
黒田さん

黒田克史さんとあいこさんのかけあい 03

ビジュアライゼーションで絞ると、たぶん現実にあるものに関しては、ほとんどのものが3Dデータ化されてほぼ無料で配布されるようになっていくと思うんですよ。かなり極論ですけどね。そうなると、現実に無いものを創り出すということにしか価値がなくなってしまう。
黒田さん
黒田さん
あいこ
あいこ
ほぇ~!
図面通りに3Dモデルを立ち上げて、指示通りに小物を配置して、あとはボタンを押せばレンダリング画像がすぐに完成しちゃう。あまり深く考えず作業的にこなすだけでもそれなりに綺麗な絵が描けてしまう。これって生業としている僕らにとって嬉しいことでもあり、怖いことでもあって、真剣に向き合っていかなきゃいけないことだなと思っています。
黒田さん
黒田さん
あいこ
あいこ
すごいなぁ~。
はっ!危機感もたなきゃ!向き合わなきゃ…
建築写真家の方に話を聞くと、建築の魅力をそのままに映し出すことと自身の個性を表現することの狭間で悩むことがあるそうです。竣工写真を撮るというのは、モデリングもマテリアルもライティングも完璧な状況ですからね。現実だから当たり前ですが(笑)PBR(フィジカルベースドレンダリング)な素材が揃えば揃うほど、建築写真家の方と近い状況になりますから、同じような悩みが出てくるんじゃないかと思います。今後は単にフォトリアルなだけというCGは価値が目減りしていきますよね、より作家性が求めらえるようになると思います。
黒田さん
黒田さん
あいこ
あいこ
いろいろな事ができてパッケージとして売れるとか、個性とか、強みがあることが大事になってくるんですね。
はい。なんか強みをつくらなきゃいけないですよね。
黒田さん
黒田さん
あいこ
あいこ
本当に個人を売る時代になっているんですね。
そうですね。これからはどうしても会社より個人の名前が目立ってきますよね。この会社に頼みたいっていうより、この人にやってほしいという流れになると思います。個人でも作品や情報を発信している方はたくさんいますし。インディライセンスなど手を伸ばしやすいソフトウェアが増えてきて、フリーランスでも活躍できる環境が整ってきていますね。
黒田さん
黒田さん
あいこ
あいこ
そして発信するツールはいっくらでもある!
で、簡単にその人とダイレクトにつながれるじゃないですか。伸ばせば誰にでも手が届く。だから何かを発信していくことと他の人とちょっと違うことをやるのが大事かなって思います。
黒田さん
黒田さん
あいこ
あいこ
見つけてもらえるようにまずは発信!まぁ見つけてもらう前に力を蓄えておかなきゃいけないけど…
大変な時代です(笑)
黒田さん
黒田さん
あいこ
あいこ
でもわくわくする!やろうと思えば埋もれないで、自分で飛び出せるから!
確かに自分でいろいろやるのは楽しいですね。
黒田さん
黒田さん
あいこ
あいこ
黒田さんのお話聞いてると、遊びとかの感覚でさらりと試されていたり、新しいことを覚えることを楽しまれている感じです。だから今、いろいろな肩書というか、1つにとらわれないお仕事をされているんですね。
いいのかは分からないですけど、結果的にそうなっちゃっていますね。あまり範囲を絞らず興味に任せてやりたいことをやりたいだけやっている感じですね。だから建築CGを専属でやっている方からすると当たり前のことを知らなかったりもしますが。。すぐ聞けばいいやとそれはそれで気にしていません(笑)
黒田さん
黒田さん
あいこ
あいこ
たしかに!「聞く」ってことも発信ですもんね。
3Dに求められているものがすごく多岐に渡ってきてるじゃないですか。
静止画や動画が欲しいという依頼もあれば、Unreal Engineみたいなちょっと体験できるものがほしいとか、需要に幅がありますよね。でも自分ひとりで全部をカバーするのは無理だし、今後何が流行るかもかわらないので、先に自分が好きなところを勉強しておいて時代とマッチしたら「出来ますよ」と言えばいいくらいに思ってます(笑)
黒田さん
黒田さん
あいこ
あいこ
かっけー!確かに見せ方も考え方もどこにどうマッチして選んでもらえるか分からないですもんね。だから自分が思うようにやっていたらそこに人がついてきてくれるっていうのは理想的です。
ベストですよね。それがたぶん。そうしたいです。
黒田さん
黒田さん

黒田克史さんとあいこさんのかけあい 04

いやー!やはりそれぞれの環境などで役割や考え方が違ったり同じだったり、お話を聞くのは面白いです!自分が好きなことや気になることで道を切り開くって、心に「楽しい」がたくさん溜まっていって人生が満たされていくんだろうなー。素敵だ。

そしてまたしても己を売り込む、それをするための努力や準備を当たり前にしてるって事が分かってしまいました!
黒田さんは自ら発信するってことを学生時代からされていたんですね!自身を売り込むことを感覚的に分かってらっしゃるんだなー

私も仕事がないのを大人の夏休みだ~とか思って家で遊んでないでちゃんと準備しよー!満たされた人生のために種まきしとけー!目指せ大谷翔平!!!

ちなみに黒田さんの使用しているPCのスペックもお伺いしました。キラリンっ

メインPC
win10
GeForce GTX 1070 x2
corei7 6800K
64GB
1TB SSD

(主に動画制作用にレンダーマシンが他に6台ほどあるそうです)

黒田克史さんが制作・販売されている3Dモデル

黒田さんは模型用の椅子と3Dモデルの販売もされているので要チェックです!
ミニチュア模型かわいいー!机に飾ったら絶対癒されるー

【模型の家】
https://www.mokeinoie.com/

最後まで読んでいただきありがとうございます。
このコーナーを引率してくださっているKvizでは建築ビジュアライゼーション業界の垣根を広げたり&超えるような活動を今後もどんどん発信していく予定ですっ!要要要チェックやっ!

天野 愛子

天野 愛子Writer, Interviewer

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フリーランス2年生。 建築CGパース制作会社退職後、心が踊る出会いを求め、活動の場を多岐に渡り拡大中。

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