建築学生のためのポータルサービス『BEAVER』をご存知ですか?

建築設計を学ぶ学生さんにとーっても寄り添ったポータルサービス『BEAVER』をご存知ですか?

今日はこの『BEAVER』を運営するArchiTech株式会社代表取締役 伊藤拓也さんにいろいろとお話を伺いたいと思います。伊藤さん、今日はよろしくお願いいたします。

ArchiTech株式会社 代表取締役社長 伊藤 拓也さん

ArchiTech株式会社 代表取締役社長 伊藤 拓也さん

まず、BEAVERについて簡単にご紹介いただけますか?

BEAVERはArchiTech株式会社で運営してる建築学生向けのWebサービスになります。
「建築ソフトの学習」「設計作品の共有」「企業とのマッチング」と大きく三つの柱で成り立っています。

CADオンライン学習サービス BEAVER

どんなきっかけでBEAVERを立ち上げたんですか?

すごく簡単に言うと、自分自身が学生時代にあったら良かったなと思うサービスを実現したのがBEAVERなんです。

なるほど~。具体的にどのようなサービスを実現したいと思ったんですか?

BEAVERの3つの柱に沿って説明していきますね。

1)建築ソフトの学習

BEAVERではさまざまな建築ソフトを学ぶことができます。これは、大学では、CADやCGソフトを俯瞰的に教わる機会がないという部分を解消したかったんです。

建築業界全体で、どのようなソフトがあってそれぞれどういう強みがあり、どんな時に使い分けをしているのかという議論は一切抜きにして、大学のパソコンに入っているからAutoCADを学ぶ、または非常勤の先生がご自身の事務所で使用しているからARCHICADを学ぶということが多かったんです。

学習できるコース一覧

そうではなく、学生には「世の中にどんなソフトが存在していて、それぞれどんな強みがあって、その中から自分はどれを選んで学ぶのか」を考えて学べる場が必要だと感じていました。
だからこそBEAVERでは、さまざまなソフトを学ぶことができます!

2)設計作品の共有

BEAVERでは自分が作った作品を世の中に広く発信することができます。 

大学では、せっかくエネルギーをかけて作った設計作品を発表する機会が実は少ないんです。学内だけの発表に留まっていたり、学生数が多い学校の場合、そもそも選抜されないとプレゼンの機会のなかったりと。それってすごくもったいないなと思ったことがきっかけですね。

BEAVERの作品一覧

3)企業とのマッチング

社会との接点をつくる意味で、企業さんとのマッチングサービスをおこなっています。

大学での建築は建築実務を学ぶものではなくて建築学を学ぶことが多く、実務の世界に行ったらこうだよ、という情報が学生にはあまり入ってこないんです。
なので、いざ就職したときに思い描いていた世界とギャップが生じ、辞めてしまうという人も多く、離職率が高くなる要因でもあるんです。学部生の間に、建築学を学ぶのはもちろん大事なんですが建築実務がどんなものでどういう世界が広がってるか知る機会が必要だと感じサービス化しました。

現時点で登録者2736人、参加大学156校、提携学生団体12団体ということで、
たくさんの方にこちらのサービスご利用いただいているんですね!

企業とのマッチングに参加している登録者、大学、団体

BEAVERはいつから運営を始めたのですか?

2018年11月にスタートさせました。

どのように登録者を増やしていますか?

学生団体さんとの連携もそうですし、学生の口コミでも登録者が増えています。
建築学科は縦のつながりが強いので、新一年生が入ってきた時に先輩から「こういう風に勉強したら良いよ」とBEAVERが口コミで伝わっていくことも増えてきました。年数を重ねれば重ねるほど、口コミによる浸透は強まっていくかなとは思っています。

学生団体さんとどのような連携をしていますか?

学生団体さんは各地域に根ざして活動しているので、彼らの活動を全国に広めたいときにBEAVERとコラボいただいたりしています。また、僕たちも、各地域ごとに集中的に情報を広めたいときに彼らに協力してもらいます。

今年はBEAVER内でコンペ企画を2個行う予定です。自分たちでイベントを仕掛けるのはもちろんですが、学生さんや学生団体さんにはBEAVERをプラットフォームとして使ってもらいたいですね。イベントをやりたいという持ち込み企画や、学生団体さんのイベントをBEAVER内でできるように体制を整えたいです。

新しい技術やツールもいろいろと出ているので、学習サイトを更新していくのはなかなか大変かと思うのですが、どのように運営・工夫していますか?

ArchiTech株式会社 代表取締役社長 伊藤 拓也さん

そうですね。そこは、苦労している部分で、なかなか更新が追いついていないというのが正直なところです。立ち上げた頃は、僕一人で、いろいろなソフトのチュートリアル動画を作成していました。実際に画面動かしながら解説の音声入れてそれを編集してアップしてと。

ソフト習得で大変なのは0→1の瞬間で、そこを学べるようなサイトがなかったんです。0→1のハードルを越えたら1から60ぐらいまでは一気に吸収できるし、60より先はもう道を追求するみたいな感じなのでBEAVERでは0から60へ行くところまでをサポートしたいと思っています。

凄い!一人で作成していたんですね。今はどのように運営していますか?

今は学生メンバーを雇ってコンテンツ作成をしています。弊社ではいろいろなポジションで学生メンバーの募集をかけています。例えば、「このソフトを学びたい人」と募集をかけて、学んでもらいながらどこでつまずいたか、学びやすいコンテンツにするにはどういう整理をしたらいいかみたいなことを一緒に議論しながらカリキュラムを組んで動画として収録をしています。

「企業とのマッチング」が3つの柱の一つでしたが、企業に対してどのようなアプローチをしていきたいですか?

BEAVER CAREERという有料マッチングサービスを2021年4月1日から正式オープンいたしました。建築学生となかなか出会えないという声を企業からよく聞きます。BEAVER CAREERでは、建築を専攻している2700名の学生と接点を持っていただくことができますので、採用面で課題を感じている企業さんに是非活用いただきたいです。

この前調べたところ、全学生の2%が建築学生のようなんですね。なので、2700人の建築学生を集めたい場合、135000人の学生を集めないと2700という数字が出ない。このことを考えるとBEAVERに登録している建築学生は多いほうだなと思います。

BEAVER CAREER内ではどのようなサービス内容なんですか?

学生は、自分のポートフォリオページを簡単に作れます。例えば、1年生の頃からコツコツ作品をBEAVERに投稿しておくと、いざ就活をはじめたり、企業にインターンに行きたいタイミングに、これまでの投稿にチェックをいれることでBEAVER CAREER内に簡単にポートフォリオが作成できるんです。また、企業の方はBEAVER CAREERのポートフォリオページをみて学生に直接アプローチしたり、企業の求人情報を置いておくこともできます。学生も求人情報ページにアクセスし、気になる企業にアプローチすることもできます。

オンライン卒制展について

最後に、Kvizも現在協賛している「オンライン卒制展 2021」についてお聞かせいただけますか?

オンライン卒制展 2021概要

オンライン卒制展 2021 応募方法、審査方法、受賞特典

応募状況はいかがでしょうか?

最終応募数は64作品でした。わりと関西が多いという印象はありましたが、エリアは幅広く北海道から九州まで応募いただきました。

オンライン卒制展 2021の作品一覧

https://beaver-archi.com/share/events/LGnzXUiR5xzFqxpvSCTi
こちらから全64作品を確認することができます

今年で2年目かと思いますが、昨年と異なる点はありますか?

昨年の3月、ちょうどコロナの影響がではじめた時期だったため、全国各地の学生団体が主催している卒業設計展がなくなるところもでてきました。3月の頭にBEAVERでオンライン卒業設計展をやるのはどうだろう?と話しが出た2週間後に実際にスタートしました。本当に準備期間がなく、機能自体はあまり実装できなかったのですが、とても盛り上がり、結果成功だったと思います。

昨年はマイナス要素からはじまったオンライン卒設展ですが、今年はそれを引きずるのは楽しくないよねということで、もう1度コンセプトを練り直しました。ちゃんと準備期間もとり、開発チームも動いてもらい新しい機能も実装しています。

どんなコンセプトなんですか?

コンセプトは2つ。

・既存の学生団体がやっている卒業設計展と競合しないこと
・建築をしていない人にも気軽に開かれた場所であること

他の卒業設計展は3月に終了するかと思いますが、BEAVERの本審査は4月18日となっています。これは、他の卒業設計展が全て終わったあと、アーカイブ用途としてBEAVERを利用したり、新1年生にも建築に触れる機会を開いておきたいという意図があり日程をあえてずらしています。

例えば、BEAVERにあげるついでに#卒制展2021というタグを付けたらBEAVERのオンライン卒制展にも出品登録完了するよぐらいの感じでいいんですよーと皆さんに伝えています。そこはお祭り感覚で楽しめればと思います!

一般票はBEAVERに登録している方以外でも応募できるのですか?

作品の閲覧までは誰でもできるようになっているのですが、投票に関しては公平性を考え登録ユーザーのみ投票できるようになっています。一般投票システムをいれることで、建築に興味がある一般の方にも気軽にイベントに参加していただけたらと思います。

伊藤さん、ありがとうございました!BEAVERは、建築を学ぶ学生さんにとって、自分たちの活動や作品をアピールしたり、建築実務を幅広く知ることができる、まさに『プラットフォーム』のような場所でした。4月からは企業とのマッチングを図る新しいサービスも立ち上がり、今後の展開も楽しみですね!

BEAVER CAREER(企業向け)はこちら→https://company.beaver-archi.com
ArchiTech株式会社のWebサイトはこちら→https://architech.co.jp/
BEAVERのWebサイトはこちら→https://beaver-archi.com/

槙田 淑子

槙田 淑子Producer, Facilitator, Writer

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建築パース・建築ビジュアライゼーション分野のポータルサイト『Kviz』編集長。デジタルメディアシステム部 所属、社内ワークスタイルサポートプロジェクト「わくすた」リーダー。エンターテイメント・文教などデジタルメディアを使う業界向けの製品プロモーションやセミナーも担当しています。

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