次は「ビジュアルは言葉に勝つ」。この事例では、
・言葉は決まっている
・窓枠からの東京
・アンバーな感じ
・10点作ってほしい
という4つの条件が提示されていた。
このクライアントは、高畑氏との関係性について「(高畑氏がクライアントの)頭の中にあるものを抜き出して形にする。それをまた頭の中に入れてもらってまた考える」と定義。それを〝ビジュアルクリエイター〟と呼んだ。
ビジュアルクリエイターという言葉は、高畑氏に〝刺さった〟。「私はそれになりたかったんだ」と、その言葉に刺激をもらった。また、いつも仕事を通して沢山のアドバイスをもらえる尊敬する人(クライアント)の想いに乗り、作品を作り上げた。
〝窓枠からの東京〟というのは、東京の新しいマンションのブランドイメージ。まだマンション自体は建ってないのでイメージの画が欲しいというわけだ。

東京という選択、ステージは東京、東京レストランなど10のフレーズが並ぶ
10点まとめて納品というのは怖かったため、まず一点の制作を開始。「東京というと東京タワーが好きで、どれかに入れたいなと思っていた」ので、東京タワーを見たいからこのマンションにした、という画像にした。これについては、複数の写真を合成しレタッチで仕上げている。

東京という選択
クライアントに見せたところ一発OKだったので、残りについても進めていった。ただ、10点すんなり完成とはいかなかった。それは〝東京ラグジュアリー〟だ。
〝東京ラグジュアリー〟のイメージはできた。窓枠はお金持ちのマンション、もしくはホテルの室内から見える夜景で、窓枠の外の画を「ダイヤモンドのような夜景」でまとめたい。しかし、マッチングしない。
この1カットは、顧客に相談したところ、「ちょっとわかんないよ」という指示書が届いた。リクエスト内容は「恵比寿のガーデンプレイスのアーチのようなところから見える異空間」だった。そこで、3ds Maxの登場となる。

左 指示書、右 最終画像
結果、10点中半分以上は3ds Maxでモデリングして完成させることができた。
ひとつひとつは楽だが、10点に統一感を持たせる、そのバランスが楽しくもあり、難しくもあったそうだ。2017年の仕事の中で、一番楽しかったとのこと。
クライアントとの会話では「〝ステージは東京〟は」といった言葉でのやり取りではなく、「東京タワーの画」や「あの六本木ヒルズの画」といったビジュアルで話をした。高畑氏は「やはりビジュアルの強さは記憶に残る」と感じた。実際、一番初めに〝いい画〟を出しておけば、好印象を持たれスムーズにお仕事が進められる。高畑氏は、これを心がけているそうだ。
続いては、魅力と強さ。
高畑氏はある映画(2001年宇宙の旅)に触発されて、仕事ではなく作品としてモデリングを行なった。一応の完成を見たが、作ってみたら「それでどうしたいの」といった感じで止まったという。なので、「ただの作品」として暫く放置してみた。

映画と同じシーンの内観CG

女性や化粧品などを合成

蓋をアングルに合わせて撮影

完成CG作成「夢中空間」
続く作品は、高畑氏がイラストのパースを描きたいという想いから生まれたもの。
ただ、Illustratorのようなソフトは得意ではなく、3D CGで何かできないかなと考えた。そんなときに株式会社Tooの別のイベントで相談したところ3ds Maxのプラグイン『PSOFT Pencil+ 4』を教えてもらったそうだ。

Pencil+との出会いでできた画
これは、作品を作ることによって顧客の気持ちも分かるようになるため。アングルを変更したくなる気持ちも分かるし、家具を変えたくなるのも「確かにそうだ」と思えるそうだ。
高畑氏は「魅力的な思いを強い味方にする」とまとめた。「いいなあ」と思ったことを作品に取り入れると自信につながり、強い味方にもなるということだ。
高畑氏は最後に、プレゼンについて語った。
プレゼンテーションはプレゼントの名詞形だ。そして、CGパースも同じくプレゼント。家を建てるには図面だけで十分なのに、パースを作ることによって「こんな家が建つのか」と喜んでもらえるからだ。

プレゼントは貰ってうれしいし、選ぶことも楽しい。高畑氏は同じように思ってくれる人が、同じ気持ちで作ってくれればと結んだ。





