学生さんの建築CG作品 ポートフォリオ添削 vol.1 – 横田 芙実子さん「A FISH」

建築ビジュアライゼーション情報サイトKviz.jpにて、新しく学生さん向けの企画が発足!
題して『学生さん!あなたのポートフォリオ、添削します♪』。
業界のプロを先生にお迎えし、学生の皆さんが作ったポートフォリオ作品を、オンラインで指導・添削します!

今回は、高畑真澄先生をゲストに、学生の横田 芙実子さんの作品を添削いただきました。
お二人のプロフィールは、こちらの記事からご確認できます!添削の前談になる話が書かれていますので、ぜひお読みくださいね!

  1. プロフェッショナルにアドバイスをもらおう – 添削にあたり、高畑真澄先生から「建築ビジュアライゼーション業界に就職するための入口と知るべきこと」
  2. ポートフォリオ添削 vol.1 – 横田 芙実子さん「A FISH」 ←今ここ!
  3. ポートフォリオ添削 vol.2 – 横田 芙実子さん「Tower」
  4. ポートフォリオ添削 vol.3 – 高橋 淳さん「Kitchen Room」

それでは、作品の添削に入ります!

タイトル:『A FISH』 by 横田 芙実子さん

横田 芙実子さん作品「A FISH」

テーマは、「地域とつながる、魚の造形をした父の家」です。
まず、横田さんより、この作品のコンセプトについてうかがいました。

「場所は、京都の鴨川沿い。大きな窓から、鴨川が見渡せます。
 父はピアノを弾くのが好きで、その音楽を川沿いを歩く皆さんにBGMとして、溶け込むように。地域の景観の一部に同化するように表現しました。
 川沿いということで、魚を表現に取り入れたかった。そのため、鱗のパターンを壁面に配置しました。ディテールも見せたく、大きめに配置しています。
 造形に魚の躍動感を入れたく、それを感じるアングルを選びました」

添削&評価のポイント紹介

それでは、これより高畑先生の評価に入ります。

高畑です。横田さん、宜しくお願いします!
まず、評価したい点からお伝えしますね。

①設計とデザイン
  沢山の想いが詰まった面白いパースですね。
②イラストの人物画
  横田さん自身が絵を描けるので、人物のイラストが味があり上手ですね。
②ピアノから空に向けて伸びる、五線譜のライン
  この表現も叙情性があり、とても良いアイディアですね。

改善のポイント

一方で改善点についてです。
全体のバランス感を見たときに、設計者である横田さんの想いが強いため、受け手側は、何を見たらよいのかが迷ってしまいます。

この場合、構図から考え直した方が良かったりもしますが、アングルはそのままでまとめる方法をお伝えしますね。

(1)違和感を無くす
(2)建物のディテールをきれいに見せる
(3)見せたいものを強調する

それでは、順を追って説明していきます。

横田 芙実子さん作品「A FISH」添削01

(1)違和感を無くす

①ほんの少しの場合は見せない
建物の裏に木の上部が見えていますが、とくに見せなくてよい要素のため、外したほうがすっきりと建物を目立たせる事が出来るようになります。

②建物と、奥の木の幹がかぶっている
同様にこちらも建物のラインと木の幹が被っているため、全面の建物をはっきり見せるためにも、重ならないように位置をずらして配置すると良いでしょう。「なんとなく配置」ではなく、意図して背景のパーツも配置します。

③奥の窓が重なっている
また、この細部の違和感は、たまたま重なってしまい、意図しない形で生まれます。奥の部屋のひし形の窓が見えてしまい、わかりづらい表現になってしまっています。
アングルをすこし変えるのがベストですが、今回は壁にしてしまいましょう。

④同化している
こちらの人物画について。せっかく描いたからこそ、壁と同化しているのがもったいないです。今、人のシルエットは全て白く塗りつぶしたものを透過で表現されていますね。
グレーにしても大丈夫ですし、反対に背景のトーンを落としても問題ありません。

この表現を改善してみましょう。

・人物の後ろの壁を、明るさコントラストで落としてみる
・人物のレイヤーに、すこし黒を入れて透過させてみる

そうすると、同化してしまった人物の形が見えてきます。

横田 芙実子さん作品「A FISH」添削02

(2)建物のディテールをきれいに見せる

⑤浮いて見える
この低木の葉が短いため、建物が浮いているように見えてしまうんですね。
これは「足元は隠してしまう」ことで解決します。低木の葉を長くし、違和感をなくしてしまいましょう。パースは足元を隠すことで安定します。

⑥五線譜のラインが、建物上部のパースと重なってしまっている

逆に建物の上部のディテールは見せるようにしてください。
空に伸びるラインが一番見せたい建物の上部と重なってしまっており、これはマイナスの表現となります。

(3)見せたいものを強調する

レンダリングだけでは、うまくメリハリを出せなかった場合は、レタッチで調整したりします。この場合、マスクがあると便利なのですが、時間がない時は大きなブラシ(直径を大きく
)を活用してみましょう。
ブラシツールは使っていますか?とても万能で、特に大きいブラシは表現の幅が広がるのでおすすめです。
実は、初心者の方は小さいブラシでレタッチする傾向にあります。
例えば、100%の白い色を大きなブラシで、建物の上に描いてみます。その後、調整レイヤーで、覆い焼きやオーバーレイなどにしてみると、光が当たったような効果に表現できます。
明るさコントラストや、トーンカーブなどの調整レイヤーでも、大きなブラシを活用してみてください。

横田 芙実子さん作品「A FISH」添削03

この方法は、建物だけでなく、周辺や背景などにも活用できます。
目立たせたくない場合は、ぼかす効果として使用してみるのもいいですね。
ここでは、背景にある並んだ植栽を指します。
また、白ではなく、黒いブラシで左下に描いてみると、レンズ効果が出ます。

絵をよく見せるための、足し算・引き算を行おう

それでは、総評です。冒頭の全体のバランス感の話に戻りましょう。
建物の全容よりも、全体のバランスを見て「良い感じ」というニュアンスを取り入れると、この作品はもっとまとまります。
アングル変更が出来ない場合は、トリミングでも調整できます。

時間がある場合は、もう少し要素を足してみるのも良いかもしれません。
例えば、五線譜に音符を足してみると、横田さんらしさが表現できるかと思います。

また、引き算も大事です。
手間をかけた素材でも、思い切って変更や削除すると、グッと良くなる事もあります。
アングルはこのままで、ぜひチャレンジしてみてください。

After – 添削後の作品改善

高畑先生のアドバイスを経て、横田さんが改良したバージョンがこちら!

横田 芙実子さん作品「A FISH」添削後の完成ビジュアル
※ ④同化している という指摘点について、最終的には壁に影を描いて同化を解消しました。

横田 芙実子さん作品「A FISH」ビフォー・アフター

最後に高畑先生より、メッセージをいただいております!

コントラストがはっきりして、見せたい建物が際立ち、とても良くなっていますね!
横田さん自身が設計者だったため、あれもこれも見せたくなった気持ちがわかるだけに、引き算や修正は悩んだと思います。ですが、もっと良くなる事があるので、まずは試す事が大事です。今回、思い切って空を変えた事が五線譜がいかされて、気持ちが良い絵となりましたね。
ランニングの人物も追加されたり、お父さんがピアノからひいている音色が音符から伝わってきて、見ている私が明るい気分になります。

CGパースを仕事にすると、修正・変更はつきものです。
ときには大胆に、細部に関してはしっかりバランスを見て、これからも製作してみてください!

高畑先生、ありがとうございました!
学生の皆さん、ぜひ参考になさってください!

おわりに

建築ビジュアライゼーション業界に就職したい学生の皆さん!
皆さんの作品を募集しております!詳しくは、Kvizまで、お問い合わせください^^ お待ちしております!

  1. プロフェッショナルにアドバイスをもらおう – 添削にあたり、高畑真澄先生から「建築ビジュアライゼーション業界に就職するための入口と知るべきこと」
  2. ポートフォリオ添削 vol.1 – 横田 芙実子さん「A FISH」 ←今ここ!
  3. ポートフォリオ添削 vol.2 – 横田 芙実子さん「Tower」
  4. ポートフォリオ添削 vol.3 – 高橋 淳さん「Kitchen Room」
槙田淑子

槙田淑子Producer, Facilitator, Writer

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建築パース・建築ビジュアライゼーション分野のポータルサイト『Kviz』編集長。デジタルメディアシステム部 所属、社内ワークスタイルサポートプロジェクト「わくすた」リーダー。エンターテイメント・文教などデジタルメディアを使う業界向けの製品プロモーションやセミナーも担当しています。

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