建築CGの次へ。動画制作 × Virtual Productionで広がるビジュアライザーの仕事(アクアクリエイティブラボ)- 建築ビジュアライゼーションMeetUp第九弾 イベントレポート

2026年7月30日(木)に開催された「建築ビジュアライゼーションMeetUp第9弾」より、セミナー「建築CGの次へ。動画制作×Virtual Productionで広がるビジュアライザーの仕事」の内容をご紹介します。

建築ビジュアライゼーションMeetUp第9弾 会場風景01

セミナー概要

建築ビジュアライゼーションのCGクリエイターが培ってきたスキルは、動画制作やバーチャルプロダクション(VP)といった新しい領域でどのように活かせるのか。本セミナーでは、CGパースやCGアニメーションを主軸としてきた制作会社が、リアルな映像・音楽・ナレーションを組み合わせた没入感の高い動画制作へと踏み出したプロセスと、LEDウォールを用いた最先端のバーチャルプロダクション撮影の実際を、具体的な事例を交えて紹介します。

前半は動画制作をテーマに、こだわりのポイントや権利関係の実務、印象的なエンディングの制作事例を、後半はバーチャルプロダクションの仕組みと現場でのリアルな経験を、いずれも建築ビジュアライザーの目線から解説します。建築CGの経験が次のフィールドへとつながっていく可能性を考察します。

主催 :株式会社Too
 協賛 :オートデスク株式会社
 登壇者 :株式会社アクアクリエイティブラボ 岡田 秀樹 氏、楊 元盛 氏

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登壇者・会社紹介

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前半を担当する岡田は、ディレクター、プロデューサー、営業を兼務し、制作以外の領域を幅広く担っています。趣味は25年ほど続けているサーフィンで、海に魅了されたことをきっかけに現在は藤沢に暮らしています。

後半を担当する楊は、CGデザイナーを担当しています。音楽、旅行、写真撮影に関心があり、異なる文化や歴史を体験し続けています。

建築ビジュアライゼーションMeetUp第9弾 会場風景03
建築CGの次へ。動画制作×Virtual Productionで広がるビジュアライザーの仕事 03

株式会社アクアクリエイティブラボは、東京と名古屋の二拠点にオフィスを構え、約20名のメンバーで日々クリエイティブ制作に取り組んでいます。建築・建設業界のお客様が多く、企画設計から竣工までを一気通貫で担い、プロジェクトのあらゆるフェーズで最適なCGや動画を中心としたコンテンツを提供しています。

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本セミナーでは、同社が行っている「動画制作」と、実際に携わった「バーチャルプロダクション撮影(VP)」の二つのテーマについて、建築ビジュアライゼーションのCGクリエイターの目線からお話しします。

動画制作という新たな挑戦

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私たちはCGパースやCGアニメーションの制作といった建築ビジュアライゼーションの業務を主軸としています。その中で、ウォークスルーを中心としたCGアニメーション動画を数多く制作してきました。主にコンペなどのプレゼン用途です。

そうした中で社内では、「コンペのプレゼン用動画にも差別化が必要ではないか」「いつもの表現から脱却したい」といった声が上がっていました。さらに、「映画やドラマのような映像コンテンツへの憧れがある」「エンドロールに載ってみたい」「公開されて多くの人に見てもらえる作品を作りたい」という、クリエイターなら誰もが抱くような想いも語られていました。

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いま、世の中には動画が溢れています。各調査機関などが公表している数値を見ると、YouTubeにアップロードされる動画は毎分500時間以上、動画マーケティングを戦略上重要とみなすブランドの割合は95%、国内の動画コンテンツビジネスの市場規模は5,400億円にのぼります。

こうした数字からも、動画が強く求められていることが分かります。

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そこで私たちは、CGを主体としたウォークスルー動画から一歩進み、CGだけでなくリアルな映像や音楽をストーリーに乗せてナレーションも加えた、より没入感が高いイマーシブな動画を目指すことにしました。

とはいえ、私たちは建築ビジュアライゼーションのCG制作を主体とするクリエイター集団です。構成台本を作る、撮影を行う、ナレーションを収録するといったスキルや経験は当然持ち合わせておらず、何から着手すべきか悩むところからのスタートでした。

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動画制作には、プロデューサー、映像ディレクター、CGディレクター、カメラマン、ナレーター、エディター、CGデザイナーなど、多くのプロフェッショナルが関わります。一方で、建築ビジュアライゼーションでは、中小規模のプロジェクトであれば一人でモデリングからレンダリング、レタッチまでを行い、一つの作品として仕上げることができます。

これは、ディレクターの要素も、カメラマンの要素も、エディターの要素も併せ持つ仕事であり、それぞれの道のプロフェッショナルほどではないにせよ、少しずつ触れているといえます。

そこで私たちは、ディレクターやプロデューサー、CGデザイナーといった立場から少しずつ経験を積み、自分たちだけでは足りない部分はパートナー企業と協力しながら、徐々に動画制作へと踏み出しました。

建築ビジュアライゼーションMeetUp第9弾 会場風景12

動画制作でこだわる4つのポイント

① ストーリー作り・台本

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ここからは、動画制作における4つのポイントを順番に紹介します。動画の設計図となる構成台本は非常に重要で、ここに最も時間をかけています。お客様との確認期間も含めると、およそ1ヶ月、長い場合は2ヶ月ほどを要します。

構成台本を考える上では、「目的を最初に定義すること」、「イメージコンテ・絵コンテを必ず作ること」、「ナレーション台本の言葉を丁寧に選ぶこと」を大切にしています。

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絵コンテは、カット割りやカメラアングル、ナレーションや音楽のタイミングなどを可視化した、動画の設計図です。これは全スタッフが同じビジョンを共有するための拠りどころとなり、CGクリエイターやカメラマンがそれぞれのクリエイティブを発揮する上でも重要な役割を果たします。作業範囲や役割分担も明確になるため、これを怠らないことが、良い動画作品になることに直結しています。

② 撮影機材・撮影技法の使い分け

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撮影時には、カメラ、ドローン、FPVドローンをセットで使用することが多くあります。

機材は用途に応じて使い分けます。メインとなる外観ショットや、空間を見せる内観ショット、仕上げ材のマテリアル感を見せるシーンなどでは、ジンバルや三脚、レールなどを用います。ドローン撮影は、対象となる建築物の全景や周辺の環境、その地域特有の景色などを捉え、オープニングやエンディング、タイトルバック、インサートなどに用いることが多くあります。

FPVドローンは毎回使用するわけではありませんが、アリーナのような大空間をダイナミックに見せたい場合や、エントランスからのアプローチを見せる場合、室内空間にインパクトを持たせたい場合などに使用しています。

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カメラ撮影は難しく感じる部分もありますが、建築CGの経験は十分に活かせる領域だと感じています。建築CGを制作する際にも、光の方向や時間帯、マジックアワーなどを用いて雰囲気よく見せる時間の演出を行うことがあります。撮影でもタイムラプスなどの時間の演出に挑戦し、光の入り方や時間帯には細心の注意を払っています。

撮影はプロのカメラマンとともに行っています。一緒にプロジェクトに取り組む中で、カメラマンの経験やスキル、構図の取り方やアイデアが、逆に建築ビジュアライゼーションの制作にも活かせていると感じています。

③ 3DCGは欠かせない

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ここ数年、建築ビジュアライゼーションの世界でもリアルタイムレンダリングソフトが人気を高め、簡単な操作でレンダリングができるようになりました。「RevitやSketchUpのモデルデータがあれば手軽にパースができる」、と囁かれることもあります。

しかし、「こういう風に見せたい」という演出を突き詰めていくと、やはり3ds MaxなどのCG専用ソフトの方がやりたい表現を実現でき、機能の豊富さや奥深さを感じています。

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ここで、CGをフルに活用した事例を紹介します。私たちは昨年、バンダイナムコが静岡にオープンした工場で、工場見学者向けの動画を制作しました。それがきっかけとなり、今度は同社が渋谷センター街にオープンする初のライブホール『Shibuya LOVEZ』について、プロモーション動画制作のお話をいただきました。ただし、正式に依頼を受けられるかどうかは、こちらが提案する企画の内容次第という条件でした。

私たちは、ティザー動画を3案、施設紹介動画を1案提案しました。その中のイチオシの案が、渋谷センター街を3DCGで再現し、その中をドローン目線のようなカメラワークと、リズミカルな音楽で「LOVEZ」のロゴを集めていくという、ゲーム感覚のあるストーリーです。担当者に大変気に入っていただき、この企画で進めることになりました。

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構成を詰めている段階で、担当者からこう問われました。「この企画は面白いのですが、ハチ公や渋谷センター街の看板・サイネージなどの権利関係は大丈夫ですか」と。

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弁護士の見解は、「撮影については屋外にあるものは基本的に問題なく、3DCGで再現した場合も同様である」、というものでした。これは著作権法第46条に該当するとのことです。注意点としては、看板やサインの文字をそのまま使用しても問題はないものの、違う名称に変えておくことがリスク軽減につながること、また、ポスターなどの図形や写真、人物には別の権利が発生するため注意が必要であることが挙げられました。

これはバンダイナムコの法務部門も同じ見解だったそうです。もし同じシチュエーションに立った際は、この認識で問題ないかと思います。

こうして「Shibuya LOVEZ」の開業前にSNSへアップしたのが、こちらのティーザー動画です。ぜひご覧いただけると嬉しいです。

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④ エンディング、最後に心に残る映像を

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最後は、心に残る映像です。依頼主の伝えたいメッセージと合わせ、視聴者にインパクトを与える映像を届けたいという思いから、あるエンディングを制作しました。半導体工場の竣工式用の動画の依頼で、ホテルの会場を借り、多くのご来賓も参加する式典と事前に伺っていたため、余計に力の入ったプロジェクトでした。

工場の空撮映像を見ていたとき、制作メンバーの一人が「この工場、半導体や基板に見えませんか」と口にしました。その一言から「それはいいかもしれない」という話になり、試行錯誤を経て、工場が半導体へと変わっていくエンディングが生まれました。

工場から半導体へと変わっていく動画を見た企業の役員の方に大変感動していただき、次のプロジェクトへとつなげることができました。

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このように、建築ビジュアライゼーションで培ってきたカメラワークやライティング、ディレクション、クライアントワークといったスキルや経験、勘所は、動画制作のクリエイティブでも十分に活かせると実感しています。これからも動画制作に貪欲に取り組んでいきたいと考えています。

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バーチャルプロダクションという最前線

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ここからは、バーチャルプロダクション(以下、VP)についてお話しします。VPとは、大型のLEDウォールにCG背景を映し出し、その前で俳優が演技することで、カメラが実写とCGをその場で合成してしまう撮影技術です。従来のグリーンバック合成と違い、演者自身も実際に背景を見ながら演技できる点が大きな特徴です。

VPの3つのポイント

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1つ目は、現場完結による圧倒的な効率化です。合成なしの実写として、その場でほぼ映像が完成します。従来のようにポストプロダクションで合成作業を積み重ねる必要がなく、工数とコストを大幅に削減できます。

2つ目は、究極のリアリティです。CGの環境光が演者に直接反射するため、不自然な合成感のない自然な光と影が生まれます。演者自身も目の前の背景を見ながら演技できるため、パフォーマンスを最大化できます。

3つ目は、建築CGスキルの直接活用です。空間構築やリアルタイムレンダリングといった、私たち建築ビジュアライゼーションのクリエイターが培ってきた技術が、そのまま活躍できる領域です。

撮影スタジオ:TELEMIC Studio Soka

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撮影を行ったのは「TELEMIC Studio Soka」です。このスタジオ最大の特徴は、センサー付きターンテーブルとin-camera VFXを連動させた独自の機構にあります。カメラを固定したままの360度回り込み撮影や、ベルトコンベアを使った移動シーンの撮影が可能で、CM、MV、ドラマ、映画など幅広いコンテンツに対応できます。

現場では、LEDウォールとカメラを連動させ、リアルタイムレンダリングで撮影します。Unreal Engine5(以下、UE)内のカメラとフィジカルカメラを同期させて動かし、撮影した映像がUEのレンダリング範囲にきちんと収まっているかを確認しながら進めます。レンズのキャリブレーションも欠かせない作業の一つです。仕上がった映像は、背景と人物が違和感なく一体になります。

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VPの現場には、プロデューサーやディレクターからカメラマン、照明、CGデザイナーまで、実に多くの職能スタッフが関わっています。そして、それぞれの専門性が合わさって一つの映像が生まれています。

VP制作工程の5ステップ

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VPを活用した制作工程には、大きく5つのステップがあります。

まず「プリプロダクション」で脚本や絵コンテを作成し、CG背景のコンセプトを決めます。続いて「CG制作」でモデリングやライティングを行い、UEへ移行します。「テクリハ」でLEDウォールの表示やカメラトラッキングを確認し、「撮影本番」ではリアルタイムにCGを調整しながら監督やカメラマンと協働します。最後に「ポスプロ」で残処理を行い、完パケとなります。

このうち、私たち建築Vizクリエイターが主に担当するのは、ステップ2から4、CG制作とテクリハの部分です。

事例1:The Way We Work.

一つ目は「The Way We Work」という作品で、2030年のある建設会社の働き方を映像化したものです。VP撮影を行ったのは、複数のモニターで現場状況を確認し指令を出す現場事務所の管理室と、現場に行かなくても施工状況を確認できる架空のバーチャル施工確認室の2シーンです。

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私たちの役割は、建設現場と現場事務所の両方のCG制作でした。イメージ提案からコンセプトアート、3ds Maxでのモデリング、テクスチャ設定、そしてUEへのシーン移行まで一貫して担当し、テクリハでは技術調整やLEDウォール用の最適化を行いました。

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使用したソフトウェアは、モデリングとシーン制作に3ds Max、高品質なプリレンダリングにV-Ray(イメージボードの制作やクライアント承認に活用)、リアルタイムレンダリングにUEです。進め方としては、イメージボードの作成から共有、フィードバック、承認を経て3D実装、UEへの移行、テクリハという流れです。

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シーンの作り込みでは、まず手描きの構成案から参考写真を探し、それを元に3ds Maxでモデリングを立ち上げます。こうした地味な作業の積み重ねが、最終的なクオリティにつながります。

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3ds Maxで作ったモデルをUEに持ち込み、テクスチャの調整やライティング設定を行うことで、ようやく実際にLEDウォールに映せる状態に近づいていきます。

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テクリハでは、本番前に確認すべきことが数多くあります。LEDウォールの色や輝度、スケールの表示テスト、カメラトラッキングシステムの動作確認、ターンテーブルの動作確認、そして実際のカメラで見た映像の確認です。

さらに、スタッフ間のコミュニケーション確認も重要なポイントです。ここでの入念な準備が、本番の成功を大きく左右します。

CG担当の視点からお伝えしたいのは、撮影が終わった瞬間に映像がほとんど完成しているということです。これは、後から作り込むプリレンダとは根本的に違う感覚でした。

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事例2:富士インダストリーズ ブランディングムービー

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二つ目は、富士インダストリーズ様のブランディングムービーです。航空機の機材を扱う企業の作品で、日常のささやかな瞬間を写真に収めてきた女性が、それらを並べて記憶をつなげていく姿を通して、富士インダストリーが世界中の人や物を繋ぐ企業であることを表現しています。

最後は、女性が大きな飛行機と向き合い、また新しいつながりが生まれるところで幕を閉じます。

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この作品では、街と空港のCGを大規模に制作しました。私たちの役割は、「街のCG制作」、「空港・滑走路CG制作」、そして「スタジオ側とのやりとり」です。都市モデルから空港の施設、航空機の配置まで幅広く担当しました。

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使用ツールは先ほどと同じく3ds Max、V-Ray、UEで、今回は都市と空港という大きなスケールの空間を作り込んでいきました。

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空港のシーン制作は特に大変な作業でした。3ds Maxで立ち上げたシーンをUEに移行し、太陽光や色調整でリアルな環境を構築します。空港が模型のように見えてしまわないよう、広大な空港をカメラルートに沿っておよそ20枚から30枚ほどの板に分け、それぞれ高解像度のテクスチャを作成しました。さらに、飛行機が滑走・離陸する動画も用意し、動きが自然に見えるようアニメーションを調整して、UE上で動かせるデータを準備しました。

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ここで最もトラブル要因になったのがスケールです。LEDウォールの実寸とUE上のスケールにずれがあると大きな問題になるため、単位系はセンチ・メートルで事前にしっかり統一しておくことが重要でした。

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街のシーンでは、神戸らしい仮想の街を作りました。道路幅や街の雰囲気について指示を受け、3ds Maxで要求に応じた街モデルを構築しています。模型のように見えないよう、青い看板や現地特有の郵便ポスト、神戸のタワー、植栽など、象徴的なモデルを数多く用意しました。UEではライティングや環境設定を細かく調整し、撮影の背景として実際に使える環境に仕上げていきます。

撮影本番では、その場でのリアルタイムな調整が求められます。空の色味や明るさ、道路の反射、飛行機の位置や向き、建物の高さや見え方まで、「もう少し暗く」「空の彩度を」といった指示にその場で対応します。

正直に申し上げると、屋外のシーンは特に難しいものでした。上部と左右のLEDパネル、実際の照明、そしてUE内のライトという複数の光源が同時に重なり合うからです。カメラ側のフィルターやホワイトバランス、LEDパネル、さらにUE内カメラのフィルターやホワイトバランスまで、すべてを細かく合わせる必要があります。どれか一つでもずれると、実写とCGの境目が見えてしまいます。

具体的には、午前中に撮れたカメラ映像を確認し、現場でUEの色味などを調整、すでに撮影済みのシーンに合わせて少しずつ背景を作り込んでいきました。地味な作業ですが、この積み重ねがクオリティを支えています。

現場は、毎回独特の緊張感に包まれていました。

一方で、撮影が終わった瞬間には、スタッフ全員で大きな達成感を味わうことができました。

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撮影後はポストプロダクションに入ります。素材整理からFXの追加処理、カラーグレーディング、MA、完パケ納品までは5つのステップです。VPの最大の強みは、撮影の時点でほとんど映像が完成しているため、ポストプロを最小限にできることです。

VPの市場と未来

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最後に、VPの市場と未来についてです。2025年の世界市場規模は3,400億円ですが、2030年には1兆2,700億円まで拡大すると予測されています。映画やドラマだけでなく、CM、広告、MVでも急速に普及が進んでおり、建築・不動産、そしてAI・XR連携といった次世代分野にも活用の場が広がっています。

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建築ビジュアライゼーションとVPには、多くの共通点があります。物理ベースライティングの知識はそのままVPの現場でも通用し、建物や都市のスケール感を扱う能力もVPの背景CGに活用できます。カメラパスの設計や、コンクリート・ガラス・金属といった素材表現、UEなどのリアルタイムエンジンの経験、そしてクライアントワークで培ったコミュニケーション能力まで、すべてが武器になります。もし皆さんのもとにVPの案件が来たとしても、これまで培ってきたスキルは確かなアドバンテージになります。

最後に

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建築CGのスキルは、VPの現場でも決して死にません。ただし、リアルタイムで判断し、他の職能と協働しながら、やり直しの利かない現場に立つ覚悟は必要です。大変な現場でしたが、それ以上に面白い経験だったと感じています。

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