画像生成AIとは – プロンプト一つで広がる画像創作の可能性

ケイくん
ケイくん
僕、絵を描くの苦手なんだけど、今話題の画像生成AIって使えるかな?
もちろん!絵の上手さも関係なく誰でも使うことができるツールなんだよ!
ビズちゃん
ビズちゃん
ケイくん
ケイくん
本当に? じゃあ、僕でもプロみたいなイラストを作れる?
コツさえつかめば、簡単にクオリティの高い画像が作れるよ!
ビズちゃん
ビズちゃん
ケイくん
ケイくん
なんかワクワクしてきた!画像生成AIってどうやって使うんだろう?
あいこ
あいこ

画像生成AIとは、人工知能を使って新しい画像を自動で作り出す技術のことです。例えば、「満月の明るい夜の街並み」と入力すると、それに合った画像をAIが作り出してくれます。

この数年でこの技術は飛躍的な進化を遂げ、アートやデザイン、エンターテインメント、ビジネスなどさまざまな分野で活用されるようになりました。一般ユーザーからプロフェッショナルまで、誰もが手軽に高品質な画像を生成できる時代が到来したということです。

本記事では、画像生成AIの基本的な仕組みから主要なツール、効果的なプロンプト作成法について解説します。

プロンプトとは – 生成AIを活かすも殺すも、プロンプト次第
プロンプトとは、生成AIに対して特定のコンテンツを出力させるための指示文のことを指します。テキストから画像、音楽まで、さまざまなコンテンツを作成するAIにおいて、プロンプトの内容が出力物の品質や方向性を大きく左右します。特に画像生成AIでは、詳細な描写やスタイル、色彩などを明確に指定することで、より意図に沿った画像を得ることができます。
詳しくは、こちらの項目で説明しています。

画像生成AIの仕組みと技術

画像生成AIの仕組みと技術

Image FXで「満月の明るい夜の街並み」というプロンプトを書いて生成した画像

基本的な仕組み

画像生成AIは、大量の画像データを学習し、その特徴を組み合わせて新しい画像を生成しています。例えば、AIが膨大な犬の画像を分析して「犬らしさ」を理解することで、新たな犬の画像を作り出すことができるというイメージです。

AIがパターンや特徴を抽出し、人間の指示をベースに画像を生成します。それはまるで、AIが学習した知識をもとに、新しいビジュアルを「想像」しているかのような仕組みとなります。

主要な技術

画像生成AIを形成する主要な技術として、以下の3つの特性があります。ここではそれぞれの性質を簡単に説明します。

1.VAE(変分オートエンコーダ:Variational Autoencoders)

VAEは深層学習を用いた画像生成モデルの一種です。特徴的なのは、教師データを使わずに学習し、データの持つ特徴を捉えながら新しい画像を生成できる点です。

この仕組みによって、AIは膨大な画像データから共通するパターンを見つけ出して、それをもとに自然なバリエーションを持つ画像を生成します。そのため、完全にランダムではなく学習した特徴を活かした、似た雰囲気の画像を生成できるのがVAEの強みです。

2.GAN(敵対的生成ネットワーク:Generative Adversarial Networks)

GANは、2つのネットワークが競い合いながら画像を生成する仕組みのモデルです。1つは画像を作るGenerator(生成器)で、もう1つは本物か偽物かを見分けるDiscriminator(識別器)です。この2つが対抗し合うことで、より精度の高い画像が作られていきます。

GANによって世の中に実在しない画像の生成や、特定の特徴を持つ画像への変換が可能になります。写真をアニメ風に変える、顔画像をリアルに合成する技術などにも活用されています。

3.Diffusionモデル(拡散モデル)

Diffusionモデルは、画像をノイズから徐々に復元することで生成する手法です。ノイズの状態から少しずつ不要な部分を取り除いていき、画像を生成していきます。

繊細なディテールやリアルな質感を再現しやすい点が特徴であり、現在の画像生成AIの中でも特に強力な手法の1つとされています。

代表的な画像生成AIツールの特徴と比較

画像生成AIは継続的に多くのツールが開発されており、それぞれが持つ特徴や得意分野が異なります。以下に、代表的なツールとその特徴を紹介します。

また、参考までに同じスクリプトを使用し、各画像生成AIツールでどのような違いが出てくるのかも比較していきます。今回使用したスクリプトは以下になります。

スクリプト原文
A futuristic eco-friendly skyscraper with vertical gardens, solar panels, and a unique curved design, set against a cityscape at sunset. The building should have glass and sustainable materials, with intricate architectural details.
日本語訳
垂直庭園やソーラーパネル、ユニークな曲線デザインを備えた未来的な環境に優しい超高層ビル。建物にはガラスと持続可能な素材を使用し、複雑な建築のディテールを備えている。

1. DALL-E

DALL-E

引用元:DALL-E

基本情報

DALL-Eは、ChatGPTで有名な『OpenAI』が開発した最新の画像生成AIです。ChatGPTと統合されており、自然言語による複雑な指示を理解し、それらを基に画像を生成する能力を持っています。多様なスタイルや構図に対応し、芸術作品から実用的なデザインまで幅広い用途に活用できます。料金体系では主にChatGPT Plusの一部として提供されていて、月額20ドルからのサブスクリプションモデルを採用しています。

技術的特徴と出力品質

DALL-Eは、高度な機械学習モデルを使用していて、プロンプトから詳細で正確な画像を生成します。複雑な構図や多様な芸術スタイルを理解し、再現する能力が特徴の一つです。出力される画像は高解像度で、写実的な表現から抽象的なアートまで幅広いスタイルに対応しています。人物の顔や手などの細部も比較的正確に描写でき、以前から課題とされていた部分も改善されてきています。

画像生成一例

画像生成一例

2. Canva AI Image Generator

基本情報

Canva AI Image Generator(別名:Magic Media)は、オンラインデザインプラットフォームの『Canva』が提供する画像生成AIツールです。Canvaの使用感の良いUIに統合されており、デザイン初心者でも簡単に利用できるのが特徴です。プロンプトから画像を生成し、Canvaの豊富なデザインツールと組み合わせて使用できます。無料プランであっても、月20回までは利用することができます。

技術的特徴と出力品質

本ツールで生成した画像は、Canvaの編集ツールを使って直接カスタマイズできるのが大きな特徴です。出力品質は一般的に良好で、特にグラフィックデザインや簡単なイラストの生成に適しています。一方で、非常に複雑な構図や細かいディテールを要する画像の生成には限界があることもあります。生成速度も速さも特徴の一つとして挙げられ、短時間で多くのアイデアを視覚化できます。

画像生成一例

画像生成一例

3. Image FX

DALL-E

引用元:Image FX

基本情報

Image FXは、Googleが開発中の実験的な画像生成AIツールです。現在、『Google AI Test Kitchen』を通じて提供されており、テスト段階にあります。このツールは、Googleの最新のAI技術を活用し、プロンプトから多様な画像を生成することができます。現在はテスト段階ということもあり、無料で利用可能です。『Gemini』に代表されるGoogleの他のAIツールとの統合の可能性も秘めているため、今後の発展が期待されています。

技術的特徴と出力品質

Image FXはGoogleの高度な機械学習モデルを基盤としており、多様なスタイルと高品質な画像生成が可能です。プロンプトの理解力も高く、複雑な指示にも対応できる可能性があります。出力品質に関しては、高解像度で詳細な画像生成が期待されますが、テスト段階ということもあって、安定性や一貫性については評価が定まってないのが現実です。特に、写実的な画像や創造的なアートワークの生成において、高い潜在能力を示しています。

画像生成一例

画像生成一例

4. WhiskAI

DALL-E

引用元:WhiskAI

基本情報

WhiskAIは、Googleが開発した画像生成AIツールで、従来のプロンプトを入力する形式ではなく、画像を入力できる点が最大の特徴です。ユーザーは「主役」と「背景」、「スタイル」の3枚の画像を選択し、そこから新しい画像を生成できます。2025年2月から日本を含む100か国以上で利用可能となり、Googleアカウントがあれば誰でも無料で利用できます。プロンプトによる難しい指示文を考える必要がなく、直感的な操作で画像生成を楽しめるよう設計されています。

技術的特徴と出力品質

WhiskAIは、GoogleのAIであるGeminiが入力された画像の「本質的な特徴」を理解し、その指示文をGoogleの最新画像生成AI『Imagen3』に渡して最終的な画像を生成する仕組みです。このため、ベースの画像をそのまま再現するのではなく、ユーザーの自由な発想を促すような多様な表現が可能です。

生成された画像がイメージから遠い場合は、「Refine」モードで微調整したり、「Diagnose」モードでプロンプトを編集したりすることも可能です。出力品質は高い上、複雑な操作をすることなく最新のAI技術の恩恵を受けることができるのが特徴です。

画像生成一例

画像生成一例

5. Krea

DALL-E

引用元:Krea

基本情報

Krea AIは、2022年にサンフランシスコで設立されたスタートアップ企業が開発した革新的なAIツールです。最大の特徴は、5種類もの動画生成AIを1つのプラットフォームで利用できる点です。具体的には、『Luma Dream Machine』や『Runway』、『KLING』、『Hailuo』、『Pika』などのモデルを利用できます。無料プランもありますが、有料プランではベーシックプランで月額10ドルからです。

技術的特徴と出力品質

Kreaは、複数の生成モデルを掛け合わせる「Flux機能」を搭載し、表現の幅を広げています。また、画像アップスケール機能を使えば、画像を最大4倍まで拡大でき、Web用からポスターサイズまで対応可能です。独自のAIモデルのトレーニングも可能なため、ブランドやプロジェクトに最適化された画像生成が可能です。動画作成も可能で、1024×1024ピクセルの高品質な動画を生成できます。

画像生成一例

画像生成一例

6. KLING

DALL-E

引用元:KLING

基本情報

KLINGは、中国の『快手(Kuaishou)』が開発した画像・動画生成AIツールです。元々は中国の電話番号を持つユーザーのみが利用可能でしたが、現在ではメールアドレスで登録することで世界中の誰でも利用できるようになりました。テキストや画像から動画を生成する機能に加え、動画編集機能も搭載されています。

技術的特徴と出力品質

KLINGは、プロンプトや画像から動画を生成する際に、物理法則を考慮したリアルな動きを再現することに特化しています。これにより、他のAI動画生成ツールと比較して、時間的一貫性が高く、自然な画像や映像を作り出すことが可能です。また、幅広いスタイルに対応しており、写実的な画像からアート風まで多様な表現が可能です。ユーザーがアップロードした画像のスタイルを参照して新しい画像を生成する機能もあるため、より具体的な指示に基づいた画像生成が可能です。

画像生成一例

画像生成一例

画像生成する際のプロンプト技術

プロンプトとは

プロンプトとは「AIに与える指示文」のことで、画像生成AIの場合は「どのような画像を生成してほしいか」を表現するテキストです。画像生成AIにおいては、プロンプトの質と精度が生成される画像の品質を大きく左右します。単なるキーワードの羅列ではなく、文章にするなどの具体的な指示を与えることで、より意図した結果を得ることができます。

効果的なプロンプトを作成するためのテクニック

効果的なプロンプトを作成するためのテクニック

プロンプトとは「AIに与える指示文」のことで、画像生成AIの場合は「どのような画像を生成してほしいか」を表現するテキストです。画像生成AIにおいては、プロンプトの質と精度が生成される画像の品質を大きく左右します。単なるキーワードの羅列ではなく、文章にするなどの具体的な指示を与えることで、より意図した結果を得ることができます。

さきほどの生成例のように、「超高層ビル」だけでなく「垂直庭園やソーラーパネル、ユニークな曲線デザインを備えた未来的な環境に優しい超高層ビル。建物にはガラスと持続可能な素材を使用し、複雑な建築のディテールを備えている。」とすることで、具体的な状況や環境を描写してくれて、より詳細な画像が生成されます。

スタイルと参照の明確化

「フォトリアル」や「水彩画風」、「アニメスタイル」など、希望する表現様式を明記します。また「アントニ・ガウディの建築様式」や「スタジオジブリ風」のように、特定のアーティストやスタイルを参照することも効果的です。

構図と焦点の指定

「ワイドアングル」や「クローズアップ」、「ドローン視点」のように構図を指定したり、「被写体に焦点」「背景をぼかす」などの指示を加えることもできます。そうすることで、より意図した構図の画像を生成できます。

ネガティブプロンプトの活用

「ぼやけていない」や「余分な手足、指の数が多い/少ない」など、避けたい要素を指定するネガティブプロンプトも多くのツールでサポートされています。全ての種類の画像生成に役立ちますが、特に人体の不自然な表現を避けるのに役立ちます。

プロンプトエンジニアリングの発展

プロンプトエンジニアリングの発展

画像生成AIの発展に伴い、『プロンプトエンジニアリング』という新たな専門分野も生まれつつあります。精度の高い画像生成に必要不可欠なのが、精度の高いプロンプトです。効果的なプロンプトを設計して画像生成AIから最大限のアウトプットを引き出すスキルは、今後ますます価値が高まると考えられています。

画像生成AIの活用事例

画像生成AIは、さまざまな業界・分野で活用されています。以下に、業界・分野ごとの具体的な活用事例を紹介します。

デザイン業界


デザイン業界では、画像生成AIがクリエイティブプロセスを革新しています。パルコの事例では、「HAPPY HOLIDAYSキャンペーン」で広告やPR動画をAIで制作し、モデル撮影なしでリアルなビジュアルを作成しました。AIでグラフィックやムービー、さらにはナレーションから音楽まで生成しました。これにより、制作時間とコストを大幅に削減しつつ、創造的な広告キャンペーンを実現しています。

マーケティング

マーケティング分野では、画像生成AIが商品企画や広告制作を効率化しています。セブンイレブンは商品企画にAIを活用し、新商品のパッケージデザインやPOP広告のアイデア出しを行い、企画期間を従来の10分の1まで短縮しました。新日本製薬では、「Fotographer
AI」を使用して商品画像を自動生成し、広告クリエイティブの制作を効率化しています。

エンターテインメント産業

エンターテインメント産業では、画像生成AIが新たな創造の可能性を開いています。Netflixは東京のアニメ専門拠点で、ショートアニメ『犬と少年』の背景美術にAIを活用し、アニメーター不足の解決を試みています。韓国のHYBEは、生成AI技術を応用したバーチャルアーティスト「Midnatt」をデビューさせ、音声生成AIによる声や仮想空間を用いたMVを制作しました。

建築・インテリアデザイン

建築・インテリアデザインの分野では、画像生成AIが設計プロセスを革新しています。大林組は施主のラフスケッチをもとにAIが複数のデザイン案を提案し、デザイナーの作業時間を短縮しています。高度な空間認識能力を持っているImagen 3などの画像生成AIツールにより、設計プロセスの効率化と創造性の向上が実現されています。

技術的課題と倫理的問題

技術的課題と倫理的問題

生成品質と制限

高度な画像を簡単に作れる画像生成AIですが、まだ技術的な制限があります。課題として例に挙がるのは、テキストの正確な表現や人体の解剖学的正確さなどです。特に、人の手指の表現や複雑なポーズなど、人物生成にはまだまだ改善の余地があります。

著作権と知的財産権

AIが生成した画像の著作権帰属や、学習データとして使用された作品の著作権問題など、法的な課題も浮上しています。これは日本国内にとどまらず、世界各国で法整備や判例が形成されている段階です。特に、「アーティストの作風を模倣する」というプロンプトから画像を生成できる問題は、大きな議論を呼んでいます。

ディープフェイクと偽情報

写真のようにリアルな画像を生成できる技術は、悪用される可能性も含んでいます。偽情報の拡散やディープフェイク作成など、誤った情報発信につながる恐れがあります。この点は、技術提供側の倫理的配慮と利用者のリテラシーが求められるポイントです。対策として、多くのAI開発企業は不適切なコンテンツの生成を制限する仕組みを導入しています。

まとめ

Generative AIのイメージ

画像生成AIは、テキストから自動的に画像を作成する革新的な技術であり、アートからデザイン、エンターテインメント、ビジネスまで幅広い分野で活用されています。世界中の多くの企業がさまざまな新しいツールを制作していて、それぞれが独自の特徴を持っています。その上で、プロンプトの工夫が生成結果に大きな影響を与えるため、効果的なプロンプト作成の技術も重要視されています。

また、画像生成AIは日々進化を続けており、手指の描写や著作権課題の解決に向けた取り組みも進んでいます。技術の向上と共にユーザーの創造力を引き出すリテラシーが広がれば、活用の幅が広がっていくことが予想されます。

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