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建築ビジュアライゼーションMeetUp Vol.1
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建築ビジュアライゼーションMeetUp Vol.1 イベントレポート (3)うれしたのしCGパースの作り方(後半)

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建築ビジュアライゼーションMeetUp Vol.1 イベントレポート (3)うれしたのしCGパースの作り方(後半)

次は「ビジュアルは言葉に勝つ」。この事例では、
・言葉は決まっている
・窓枠からの東京
・アンバーな感じ
・10点作ってほしい
という4つの条件が提示されていた。

このクライアントは、高畑氏との関係性について「(高畑氏がクライアントの)頭の中にあるものを抜き出して形にする。それをまた頭の中に入れてもらってまた考える」と定義。それを〝ビジュアルクリエイター〟と呼んだ。

ビジュアルクリエイターという言葉は、高畑氏に〝刺さった〟。「私はそれになりたかったんだ」と、その言葉に刺激をもらった。また、いつも仕事を通して沢山のアドバイスをもらえる尊敬する人(クライアント)の想いに乗り、作品を作り上げた。

〝窓枠からの東京〟というのは、東京の新しいマンションのブランドイメージ。まだマンション自体は建ってないのでイメージの画が欲しいというわけだ。

東京という選択、ステージは東京、東京レストランなど10のフレーズが並ぶ

10点まとめて納品というのは怖かったため、まず一点の制作を開始。「東京というと東京タワーが好きで、どれかに入れたいなと思っていた」ので、東京タワーを見たいからこのマンションにした、という画像にした。これについては、複数の写真を合成しレタッチで仕上げている。

東京という選択

東京という選択

多数の写真からこれというものを選ぶのにも、時間がかかった。

クライアントに見せたところ一発OKだったので、残りについても進めていった。ただ、10点すんなり完成とはいかなかった。それは〝東京ラグジュアリー〟だ。

〝東京ラグジュアリー〟のイメージはできた。窓枠はお金持ちのマンション、もしくはホテルの室内から見える夜景で、窓枠の外の画を「ダイヤモンドのような夜景」でまとめたい。しかし、マッチングしない。

この1カットは、顧客に相談したところ、「ちょっとわかんないよ」という指示書が届いた。リクエスト内容は「恵比寿のガーデンプレイスのアーチのようなところから見える異空間」だった。そこで、3ds Maxの登場となる。

 

左 指示書、右 最終画像

3ds Maxなら、異空間も作り上げられる。作成したものと写真のパースを合わせて完成させた。クライアントは「これどこ?」と思わせるという目的に合っていると言ってくれたそうだ。

結果、10点中半分以上は3ds Maxでモデリングして完成させることができた。
ひとつひとつは楽だが、10点に統一感を持たせる、そのバランスが楽しくもあり、難しくもあったそうだ。2017年の仕事の中で、一番楽しかったとのこと。

クライアントとの会話では「〝ステージは東京〟は」といった言葉でのやり取りではなく、「東京タワーの画」や「あの六本木ヒルズの画」といったビジュアルで話をした。高畑氏は「やはりビジュアルの強さは記憶に残る」と感じた。

実際、一番初めに〝いい画〟を出しておけば、好印象を持たれスムーズにお仕事が進められる。高畑氏は、これを心がけているそうだ。

続いては、魅力と強さ。

高畑氏はある映画(2001年宇宙の旅)に触発されて、仕事ではなく作品としてモデリングを行なった。一応の完成を見たが、作ってみたら「それでどうしたいの」といった感じで止まったという。なので、「ただの作品」として暫く放置してみた。

映画と同じシーンの内観CG

映画と同じシーンの内観CG

放置していたところアイデアが浮かび、空間を変えてみた。鏡を使って、女性がデートの前に慌てて化粧をしている、そういったシーンを描いた。ここまで描いても自分の中では「もうちょっと何かないかな」とずっと考えていた。これもいったん放置。

女性や化粧品などを合成

女性や化粧品などを合成

再び浮かんだのは、香水。香水のビンの屈折や中の液体の表現に利用したのは、Photoshopだ。CG画像の前にビンを配置して写真を撮り、CG画像を映し込んだ。フタも同様に撮影して合成。作品の完成となった。

蓋をアングルに合わせて撮影

蓋をアングルに合わせて撮影

完成CG作成「夢中空間」

完成CG作成「夢中空間」

タイトルは夢中空間。気に入ってくれた方もいるのですが、気になった方が多くいたので、そこが「うれしい」「楽しい」作品となった。

 

続く作品は、高畑氏がイラストのパースを描きたいという想いから生まれたもの。

ただ、Illustratorのようなソフトは得意ではなく、3D CGで何かできないかなと考えた。そんなときに株式会社Tooの別のイベントで相談したところ3ds Maxのプラグイン『PSOFT Pencil+ 4』を教えてもらったそうだ。

Pencil+との出会いでできた画

Pencil+との出会いでできた画

これについては、自分でやりたいと思った画が描けたという。全部がPencil+ではなく、Photoshopでの編集も行なっている。作品は「自分の心が喜ぶものが一番いい。自分がいいと思ってないのにここでおしまいと決めるのはもったいない」と語り、仕事以外に作品を作ってみてほしいとした。

これは、作品を作ることによって顧客の気持ちも分かるようになるため。アングルを変更したくなる気持ちも分かるし、家具を変えたくなるのも「確かにそうだ」と思えるそうだ。

高畑氏は「魅力的な思いを強い味方にする」とまとめた。「いいなあ」と思ったことを作品に取り入れると自信につながり、強い味方にもなるということだ。

 

高畑氏は最後に、プレゼンについて語った。

プレゼンテーションはプレゼントの名詞形だ。そして、CGパースも同じくプレゼント。家を建てるには図面だけで十分なのに、パースを作ることによって「こんな家が建つのか」と喜んでもらえるからだ。

プレゼントは貰ってうれしいし、選ぶことも楽しい。高畑氏は同じように思ってくれる人が、同じ気持ちで作ってくれればと結んだ。