『海外での不動産広告CG事例』

株式会社QLEA(以下、QLEA)は、2002年の創業の制作会社で、主にマンションデベロッパーの販売促進・広告用にCG・Website・映像・VRなどを制作しています。
着実に携わる案件を広げ、海外の建築CG/VR/映像制作も手がけるようになりました。

TOKYU LAND INDONESIA | BRANZ Simatupang

QLEAが手がけた海外案件の1つ。 TOKYU LAND INDONESIA | BRANZ Simatupang

TOKYU LAND INDONESIA | BRANZ Simatupang

TOKYU LAND INDONESIA | BRANZ Simatupang

BRANZ Mega Kuningan | TOKYU LAND INDONESIA

BRANZ Mega Kuningan | TOKYU LAND INDONESIA

本セッションのスピーカーの濱田氏は、QLEAではCG・Web・ 映像制作のディレクターとしてだけではなく、VR制作チームのリーダーも兼任。最近ではドローンも飛ばすというマルチな技術の持ち主です。
3ds Maxを使い出したのは2000年ごろ。まだ名前が3D Studio MAX R3.1という名称のころから触っている大ベテランです。

楽しそうに、アプリケーションの古いバージョンについて語る濱田氏

楽しそうに、アプリケーションの古いバージョンについて語る濱田氏

長年、日本における建築ビジュアライゼーションの第一線で活躍をしてきた濱田氏。
その濱田氏が、初めて携わる海外の案件ではどのような困難や気づきがあったのでしょうか?

インドネシア・ジャカルタにおけるCG

QLEAではインドネシアの首都、ジャカルタの大型物件のCG制作に携わっています。
簡単にインドネシアの紹介をすると、人口が約2億6,200万人で、世界第4位。
東南アジアに位置し、1万を超える大小の島で構成されています。
首都ジャカルタは、開発が盛んで、大規模な都市開発のプロジェクトも進行しています。

ジャカルタの様子

QLEAが手がけた案件は、その規模は、300戸から、大きなものでは1000戸を超えるものまでと、日本国内と比べると規模が大きいプロジェクトが多いようです。

OPUS PARK | Sentul City、Sumitomo Corporation、Hankyu Hanshin Properties Corp. による1000戸を超えるプロジェクト

OPUS PARK | Sentul City、Sumitomo Corporation、Hankyu Hanshin Properties Corp. による1000戸を超えるプロジェクト

OPUS PARK | Sentul City、Sumitomo Corporation、Hankyu Hanshin Properties Corp.

OPUS PARK | Sentul City、Sumitomo Corporation、Hankyu Hanshin Properties Corp.

海外での建築ビジュアライゼーションがテーマとのことで、気になるのは日本のクライアントとやりとりする場合との違いです。

ワークフローの違いと初稿の重要性

まず、顕著な違いとして、CGパースを作る工程自体の違いが挙げられるといいます。
日本では、制作会社が設計図面を設計事務所から受け取り、その図面を元に制作会社が3ds Maxでモデリングを行い、アングルを決めてから、レンダリングをするというのが一般的な流れです。
(*広告用CGパース制作の場合)

ワークフローの違い

今回、QLEA が携わったインドネシアの案件では、SketchUp のデータを設計事務所から受け取り、そのデータをもとにアングルを決めて、レンダリングを行うというフローで案件が進みました。
インドネシアでは、図面を要求しても、なかなか手に入らず、図面がないまま進む案件もあるといいます。

設計チェックが細かく入らないことも特徴です。

日本国内のマンション広告用CGパース制作の場合、完成までの間に複数回設計士による形状の確認・修正指示が入ることが当たり前ですが、インドネシアでは形状に全く修正が入らないこともあるといいます。
CGパースを作るタイミングでまだ形状が細かく決まっていないため、「適当にカッコよければOK」ということがあるほど。

逆にいうと、日本では形状の修正をしつつ、CGパースの表現のクオリティーをブラッシュアップしていく時間もありますが、そういった工程や時間が取れず、初回の提出時から表現としても完成品としてのクオリティーを求められます。

「途中感を出さずに、完成に近い形の確認を早い段階で見せていくことが重要かなと思います。
後はどうしても海外なので、言葉によるコミュニケーションが難しいこともあって、あまり中途半端な絵を見せてしまうと、その印象がずっと強く残って、そのあとの工程に色々と(よくない)影響が出てきてしまいます。
コミュニケーションがうまく取れない中でやるとなると、絵をしっかりと見せていくいうことが非常に重要かなと思います。
日本でも初見のイメージは、非常に大事だと思うんですけども、海外だとその傾向がより強い気がします。」(濱田氏)

QLEA 濱田氏

とはいえ、日本よりも作業時間がとれない上に、形状も決まってない中で進めるため、初校で判断されるのはリスクが高くもあります。

そこで、初稿までの過程も、しっかりとクライアントに見える形で確認していく必要があると濱田氏は考えました。

セッションの様子

よりよいビジュアルを早く出す「見える化」の工夫

作り上げていく過程も、より早く、よりクライアントがイメージが湧きやすいものになるよう様々な工夫を行いました。
濱田氏は、これを「見える化」とよび、常に新しい技術や手法がないか実際の業務で試しています。

初稿提出前に行なった見える化の方法

初稿提出前に行なった見える化の方法

例えば、アングル出しをLumionで行いました。

「3ds Maxのビューポート表示もキレイにはなってきましたが、Lumionに比べると見栄えが全然違います。
また、たまたま動かしている最中に、お客さんから『あ、ちょっと待って、ここ(このアングル)いいですね!』と言われることもあったりします。
その場で演出の方向性を決めることにも使用できます。
ただ、3ds Maxにカメラデータを戻せないのだけが難点です。」

QLEA 濱田氏

他に、Corona Renderer や Google Earthを使った周辺環境との検証や、Unreal Engine 4などを活用した事例をご紹介いただきました。

UE4について

最後に、海外でも導入をしているというVRの事例紹介が行われ、本セッションは終了となりました。

VRについて語る濱田氏

QLEAでは、「GRUU」という名称でVRの制作を行なっています。
https://gruu.jp/

ジャカルタでの滞在中に、腹痛を伴う感染症にかかり、帰国後も入院をしていたという濱田氏。なんでも日本では珍しい病原菌だったそうです。
そんな日本の建築CGの現場では体験できない仕事が垣間見えた貴重なセッションでした。