製造・建築・広告分野でビジュアライゼーションに力を入れていきたい方におすすめ!知る人ぞ知る、3ds Max エンジニアとして長年の経験を持つ宋明信氏(宋さん)による有償ビジュアライゼーションテクニック講座を11月よりスタート!

基本情報

回数 月1~2回(金曜日)
時間 1日2回 13時~15時/16時~18時
場所 株式会社Too 1Fコーラス
Map
定員 各8名(最小施行人数2名)
料金 税別15,000円
形式 セミナー形式(PC持ち込み自由)

講師

対象者

レベル:初心者
・製造・建築・広告分野でビジュアライゼーションに力を入れていきたい方
・製造・建築・広告分野でビジュアライゼーションの作業効率化を図りたい方

講習コンテンツ

(A)光に関する知識を追い込みましょう 基礎知識
(B)マテリアルについて深く考えましょう 基礎知識
(C)アニメーションにチャレンジ 操作系
(D)モデリングにチャレンジ 操作系
(E)パーティクルにチャレンジ 操作系
(F)クロスシミュレーションやヘアーエフェクトをデザインビズで使ってみよう 操作系
(G)Arnoldレンダラーにチャレンジ 操作系
(H)はじめて使う最新レンダラー 操作系

【注意点】
*チケットのキャンセルは基本的に承っておりませんのでご注意ください。
*実施日2営業日前の時点で最小施行人数(2名)に満たない場合、中止のご連絡をさしあげます。なお、参加費につきましては払い戻しをもって替えさせていただきます。

コース詳細・お申し込み

アメリカと日本の文化の違いについて

アメリカの年配の人たちはデジタルに対しての拒否感が少ないと感じます。デジタルに対する垣根が低い分、理解があると思います。それは、使いやすくわかりやすい高機能な携帯電話が先に普及した日本に対し、アメリカではスマートフォンが出る前までは携帯電話ではなく、パソコンが普及したのが要因かもしれません。年配の方が、カフェでMacを広げてメールをしていたり、iPadで読書をしている姿を見ることは、こちらでは日常的なことです。

また、年の離れている人とのコミュニケーションが日本よりも上手です。例えば、アメリカの会社では誰かが叱られているのをあまり見たことがありません。全員がリーダーになれる教育を受けてきているので、チームとして自分の役目がわかっており、それぞれが協力的になれるのだと思います。

スタートアップ企業で働くことについて

考え方が別次元で衝撃を受けました。建築家としての考え方を180度変える必要がありました。

これまでは、施主やクライアントのニーズを吸い上げ、「建築物」を形作っていましたが、いまはクライアントがいない状態で家を創る。プロダクトの考え方に非常に近いと思います。ターゲットとなるユーザーがいて、どんな問題をかかえて、そのプロダクトがどんな解決に繋がるのか?を考えていく。

日本のホームメーカーさんに近い形だと思うのですが、アメリカのホームビルダーという形で、アトリエ出身の建築家がそれに取り組むというのは、これまであまりありませんでした。

HOMMAのミッション

HOMMAのミッションは「先進的な現代のライフスタイルを創り出す存在となる」こと。このミッションや意気込みに共感してくれた人たちに投資してもらい、ユーザーエクスペリエンスに重きを置き、テクノロジーやサービスを駆使しながら、建築に組み込んでいく……そういうことをやっています。

ターゲットはアメリカ人なので、その文化の違いをどう理解するか、日本人の常識にとらわれず具現化することが建築家としての大きな挑戦でもあります。

また、アメリカでなぜAirbnbやUberがはやっているのか? 記事を読んだり、見ればわかるということは絶対ないので、サービスをしっかり享受し、文化を感じ、足を使ってちゃんとターゲットユーザーの生活を肌で感じることは、とても重要だと思っています。

HOMMAの住宅開発手法

スタートアップ企業の建築家として求められていること

イノベーティブな変化というのは、外部の業界から浸透してきてスタンダードに置き換わることが多いです。業界が化石化しないために変わらないといけない部分と、守らないといけない部分を取捨選択していかないといけません。スタートアップ企業で働いているからこそ感じるのですが、今後、建築家に求められることも劇的に変わっていくのではないでしょうか。

スタートアップ企業の建築家として重要なのは、一つ一つの機能に注目することではなく、その先のユーザー体験やサービスを作っていくことに重きをおくことです。

いままでのように建築だけで解決策を考えるのではなく、テクノロジーやサービスも解決手段の一つとしてデザインに組み込む。一つの分野や業界に固執せず、最終的に使ってくれるユーザーがどのような価値を感じ喜んでくれるかを大事にする。また、アメリカの文化やプロダクトコストを無視して美意識を押し出しすぎた高級住宅を建てても、本当に届けたい人には届かなくなってしまうので、全体のバランスを大事にしています。HOMMA ONE完成後には、ターゲットユーザーに実際に家やテクノロジー、サービスを使ってもらい、その声を反映しながらブラッシュアップしていきたいです。

働くのに大切なこと

アメリカでも、日本でもどちらでも言えるのですが、チーム作りが肝だと思います。特に重要なのは、経験のある上の世代と下の世代がどのように一緒に仕事をするかだと思います。

アメリカだと世代間のコミュニケーションが比較的フランクに行われます。私はいま、長年建設現場を経験してきたコンストラクションマネージャーのGregとチームになって、現在のプロジェクトを進めているのですが、お互いの専門分野を尊重しながらチームとしてプロジェクトを進め、現場でのリーダーシップを発揮しています。

建築は自分一人では何もできない業界です。例えば、現場経験の長い人をチームに組み込まず、経験の浅い若い人だけで建築スタートアップのプロジェクトを進めてしまうのは本当にもったいないことです。

建築こそ、上の世代が経験してきたことを、世代を超えて一緒に頭を突き合わせてやっていく必要があります。その一方、下の世代が持つ、経験だけでは生まれない新しいアイデアを、上の世代が柔軟に取り入れていく姿勢をもつことも大事なのです。建築のイノベーションは実はそういったところから生まれるのではと思っています。

建築家としてのキャリアについて

一番初めに就職した大手設計事務所では、さまざまな大きなプロジェクトに携われる機会がありました。ただ、やはり大きな企業なので、しっかりと分業化されていて、自分で全体像が見えないまま経験を積むことに対して危機感もありました。

アトリエ系事務所に移ったとき、プロジェクト全体を任されることも多く、チャレンジできる環境でした。そして、いまはスタートアップという、さらなるチャレンジ領域に足を踏み入れています。

これまでの経歴から考えるとスタートアップで仕事をすることで建築家としての蓄積が減ってしまうのでは?といわれたこともありますが、分断されている世界の橋渡しをするという経験はとてもプラスになっていると感じています。

スターアーキテクツ(Starchitects)自体はとても好きですが、私は自分自身が表に出ていくことに対してあまり重きをおいていません。時代に合わせたものをつくり、建築のやり方自体を革新できる建築家になりたいです。

まず井上さんの経歴を教えてください。

日本の高校を出た後、ボストンの大学で建築を学びました。卒業後、アメリカの大手建築設計事務所であるSOM New Yorkに就職しました。2008年からアトリエ系設計事務所の小林・槇デザインワークショプ(以下KMDW)で6年働き、2014年にカリフォルニア、バークレーにKMDW, Inc.を設立後、2016年からはHOMMAのデザイナーとして働き始めました。

アメリカの建築教育はどう感じられていますか?

アメリカの大学の建築学科の期末レビューに呼ばれることがあるのですが、最近の建築学科は1学期間でやることが多すぎると感じます。

コンセプト、手書きスケッチ、CAD基本図面、ビジュアル、模型、ディティール模型、3Dプリントと内容が非常に幅広いです。

ツールを覚えることに精一杯で、一番大事なコンセプト作りのための時間をつくれていないのが心配ですね。課題提出を間に合わせるために誰かの真似をした作品を提出してしまう学生もいて、中身がすかすかのためレビューとして批評できる状態ではないときがあります。

以前、KMDWでインターンにきたアメリカの学生に、シングルラインでいいから手書きで平面図スケッチを描かせたことがあります。その学生は、デジタルツールをいつも使って作業していたため、空間に対してのスケール感がわかっていないようでした。例えば、コンセプトプランにスケッチする際、その空間に対して適切な階段のサイズがわからないといったことです。

図面を見て瞬時に頭の中で空間を把握することは、建築家として必要な能力の一つだと思います。いまは学校に入ったときから、熟練の経験者が使うようなソフトを使い始めます。基礎がないままツールの習得に入ってしまうことで別の課題が生まれている気がします。

別の課題とは?

クライアントや現場の人に説明するのに必要な、知識と言葉をもつ訓練ができていないことです。

確かにRevitやArchiCADなどを使えば、テンプレートからリアルに建てられる壁の図面を描けるかもしれない。ただ、あなたの描いている壁は、現場で職人さんが実際につくる壁なのだから、全体の整合性や構造、各部位の意味がわかっていないと現場の人にもこちらの意図は伝わらないよ、とインターンや学生に対して伝えています。

なるほど。世代間ギャップも感じますか?

CADやCGを使えること自体が問題だとは思っていません。ただ、CADを使ってこなかった上の世代と、デジタルでモノを考える下の世代とのギャップを埋める通訳者が少ないことに危機感を感じるときがあります。

もしかしたら建築業界においては、納期を短縮できるデジタルツールを喜びすぎてしまったのかもしれませんね。せっかく3Dデジタル化して時間短縮につながったのだから、その空いた時間を、下を育成する時間に回せればよかったのですが……プロジェクト自体が短納期化してしまいました。

だからこそ、意識してギャップを埋める時間や教育システムそのものを、会社できっちり考えていかないといけないのでしょう。

デジタルとアナログの変革期を経験した井上さんはいま、どのようにツールを捉えていますか?

以前は、プレゼンのために3ds Maxなどを使って格好いいビジュアルを作っていました。もちろん、目的やアピールポイントが変われば使うツールは当然変わってきます。ツールは、時代にあわせて、目的ごとに適しているものを選択していくことが重要かと思います。

井上さんが実際に使っているツールを教えてください。

HOMMAのプロジェクトは、通常の建築プロジェクトとは異なるため、自分に求められていることもこれまでと異なります。特定のCAD、CGツールを使うことよりも、さまざまなツールを試し、何が一番このプロジェクトに適切か考え、データや情報をチームにわかりやすく共有し、一緒に修正していくことが重要になります。

その点で、各プロジェクトの全体像を把握することができるiPad Proは本当に便利です。

打ち合わせをするときやスケッチをするときは、iPad ProとApple Pencilを使っています。最近はMorpholio TraceとConceptsというアプリを行き来しながら仕事していることが多いですね。

Concepts appの画像イメージ

Concepts appの画像イメージ

Morpholio Traceは建築デザイン用アプリです。取り込んだPDF、地図、写真、画像、図面に対し、レイヤーでトレーシングペーパーを重ねて、定規・ブラシ・ペンツールで書き込めます。

打ち合わせの際、AirPlayでiPad Pro上のMorpholio Trace画面をモニタに映し出し、赤入れ(修正指示)もこのアプリ上でしています。

Conceptsはプロジェクトごとの情報やスケッチをまとめるのに使用しています。デジタルの巨大な1枚のパレットに全ての考えを書き込むので、プロジェクトが進んでいくと色あせてしまうような、初めのコンセプトをいつも表示しておくことができます。また、他のアプリでプレビューしたRevit、SketchUp、Rhinoceros、ArchiCADなどのCADデータを、切り取った画像の上にトレースできるのがとても便利ですね。

あと、特別なことではないかと思いますが、情報にどこからでもアクセスできるようクラウドを使える環境は必須ですね。

デジタルツールとどのように向き合っていますか?

すべてをデジタル化したい、紙をゼロにしたいという気持ちはありません。建設現場の人たちと話しをするときは紙で図面を見せることも大事なので、それぞれ目的にあわせて使えばよいと思っています。

また、仕事と作業は別物と考えています。デジタルを使って速くなった作業もある一方、そのツールを使うことに満足してしまい、仕事の時間(考える時間)を削ってしまうのはデジタルの間違った使い方だと思います。

使いこなすまで少し時間はかかりますが、アイデアがふってくるその瞬間を逃さないで、パパっと寝転がってスケッチしたりして。細かく分断された時間を使えることがデジタルツールの良さだと思います。ただ、PCで作りこんでいるわけではないので、遊んでいるように見えるかもしれません。まわりの理解は必要かもしれませんね(笑)。